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平成19年10月10日 高知エコデザイン地方議員連盟会 員 各 位 殿
高知エコデザイン地方議員連盟
今、9月定例県議会において、「高知からCO2±0宣言」 を全会一致でご決議頂きました。議員各位のご理解とご協力に心から感謝申し上げます。 皆様ご案内の通り、来年2008年から2012年までの5年間は、京都議定書の国際公約を履行する第一約束期間に突入します。我国は、先進国の責務として二酸化炭素を1990年比で6%削減しなければなりません。ところが、2005年の時点で既に7.8%以上オーバーしていますので、現時点では6%+7.8%→13.8%以上削減しなくてはならない危機的な状況下にあるのです。 【参考】2005年時点の日本の総排出量は、13億6,000万co2tである。これは基準年1990年比7.8%の増加である。 ちなみに基準年1990年は、12億3,700万co2t・・・したがって1億200万co2tの増加である。 全世界の総排出量は、1980年に約50億co2tであったが2004年には73億co2tを超え、先進国が77%を占めている。 世界一・二位の排出国である中国とアメリカの枠組み参加が今後の大きな課題である。 最近のアメリカは、考え方に前向きだが、削減数値目標の設定については難色を示している。中国は、依然として低開発国扱いの主張を崩していない。 京都議定書のノルマ6%削減の内、6割以上の大きなウエイトを占めるのが森林吸収量の3.8%であり、この数値は、モロッコの首都、マラケシュ会議(COP7)で認められた上限値であります。尚、3.8%削減=約4,800万co2tに相当します。 高知県の森林面積は、日本全体の森林面積の約2.4%です。 この数値が基準となり、京都議定書における我国の森林吸収量の上限値3.8%に対する、高知県分の森林吸収量(このうち民有林分は約100万co2t)が算出されます。 【参考】高知県全体の森林面積597,960ha【約60万ha】、日本の森林面積25,121,084ha【約2,512万ha】高知県は全国の2.4%である。県土84%の森林率は全国一。ちなみに本県の人工林率は65.4%(全国の人工林率41.2%)です。 政府は、美しい森づくりを目指して、今年から通常年よりも60%=毎年20万ha積み増しした森林整備を実施すべく、ご案内のとおり、昨年末765億円の大型補正で財源措置されたところです。 本県は、近年、毎年約15,000haの間伐を実施してきましたが、施業条件の良い場所がだんだん減少し、担い手不足とも相俟って、昨年度の間伐量は、12,000haに留まっているのが実態です。 本県の森林整備予算をみると、昨年度の繰越が6億2千万円程度あり、本年度予算と併せると約19億円もの巨額の予算を抱え、事業の確保は大きな課題になっています。 一方、本県の森林吸収量確保推進計画(民有林)によれば、京都議定書の第一約束期間終了年の2012年までに98,000haの未整備森林を整備し、森林吸収量100万co2tを確保するとしています。 【参考】木材1Gは、約0.2co2tに相当します。炭素含有率0.5(t−c/t)・木材の乾燥比重を約0.4(t/G)とすると、 1G×0.4t/G×0.5t−c/t=0.2 【参考】1co2tは、太さ20B、高さ20mの立木約10本分に換算できます。立木1本の幹の堆積を約0.27G、枝や根まで入れてバイオマスの量を拡大して炭素重量に換算すると、 0.27×1.7(バイオマス拡大係数)×0.4(木材比重)×0.5(炭素含有率)=0.092co2t×10本→1炭素トン 本県の温暖化対策を進める上で、森林吸収は大きなウエイトを占めていますので、豊富な森林整備予算を十分に活かし、是非とも目標の森林整備を進める必要があると考えています。 しかし、現状のままでは来年度の繰り越しもまた、前年並みという可能性もありますので、森林整備を本県温暖化対策推進の観点からも非常に重要な課題と認識し、積極的に推進する必要があります。議員各位の関係機関や関係団体への働き掛けを宜しくお願い致します。 さて、本県の温室効果ガスの排出量は、依然として増加傾向にあって、2010年時点の排出量は940万co2tと推計されています。その時点における削減目標値は780万co2tですから、940−780で160万co2tの削減が目標になる計算になります。 民有林の森林吸収量を目一杯の100万co2tと見込み、これに国有林分(明確な数字が示されていませんので、現在四国森林管理局に問い合わせ中)を見込んでもなお、30〜40万co2tが不足すると推測されます。 【参考】160−100=60万co2t→この内、国有林は30万co2t前後と推測すれば、60−30=30万co2tの不足になる計算になります。 この不足分は、どうしても民生部門などの努力で更に削減しなければなりません。本県は、日本一の森林率を誇る森林県ですが、それでも総排出量に対する吸収量は10%代でしかありません。 しかし、工業後進県であったことが皮肉にも幸いし、CO2排出量の面では削減に向けたプラス要因となり、森林が多いことも相俟って全国で±ゼロ宣言に一番近い県と言われていました。 したがって、森林吸収量を最大限に伸ばすことと併せ、民生部門など、県民生活の中での削減を如何に実行あるものにするかは大きな課題であります。 【参考】2004年3月に高知県地球温暖化対策地域推進計画を策定し、2010年における県全体の削減総量2.9%を目標に掲げた。その内、部門別削減量で民生部門・運輸部門・廃棄物部門を合わせて7.7%削減の目標が現計画に謳われている。 高知県地球温暖化対策地域推進計画によると、本県の排出量は、1990年から2000年の10年間に26%も増加しています。 特に家庭からは33%増加、産業部門では31%増加しています。 さらに、2000年を基準にすれば、23%も削減しないと計画の目標値2.9%削減は達成できません。 2004年時点のわが国の1世帯当たりの年間総排出量は,5.5co2t=約5.500kgco2/世帯(自家用車31%・家電製品や照明器具30.6%・暖房13.2%・給湯12.2%・一般廃棄物5.5%台所3.3%・水道2.1%・冷房2.0%)と推計されています。 この排出量から推進計画に基づく各家庭の削減目標を算出しますと、1世帯当たりの削減量は、年間約1.7co2t=1,700kgco2/世帯になります。 例えば、毎日自動車を使用する人が、1週間の内2日往復8kmの使用を控えると約185Lco2を削減できます。これは年間約9,200円の節約です。 また、家族全員がシャワーを1分間節約すれば69kg(7,100円の節約)削減できます。お湯の流しっぱなしをマメに止めるだけで達成できますね。 また、エアコンの設定温度を調整したり使用時間を短縮することで約63L(約7,000円)の削減につながります。 このような省エネ行動へ向けたインセンティブを県民の皆様に与え、環境保全に対するモチベーションを上げて頂く為にはどんな方法が良いのか。先ずは、県民の代表である議員がもっと真剣に考え、取り組むべきではないでしょうか。 地球温暖化防止に自ら積極的な活動を展開し、ノーベル平和賞にノミネートされたアメリカのアル・ゴア前副大統領は、自身の地球環境問題啓発の講演ビデオ「不都合な真実」(アカデミー賞ノミネート作品)の中でこのように語っています。 「温室効果ガスの削減への取り組みは、我々人類が科学の英知を結集すれば1970年代のレベルまで削減することも可能かもしれない。しかしながら、唯一つ、今ここに足りないものがある。それは強い信念に基づく政治的意志である。 また、その政治的意志こそが再生可能な資源なのだ」・・・・云々 確かに、政治がリーダーシップを発揮しないとだめだと感じました。 「不都合な真実」DVDは、tsutayaでもレンタルできます。見応えのある作品ですので、是非一度鑑賞して下さい。我々議員も、率先して、省エネを心がけましょう。 さて、本県の橋本知事は、去る6月定例県議会で京都議定書を率先して遵守することを標榜しました。本県の現計画では2010年までに2.9%削減が目標ですから、京都議定書並みの6%削減を目標にするなら、6%−2.9%=3.1%不足していることになります。真に「京都議定書を遵守する」には、この不足分に対する削減割合を、上乗せするべきだと考えられます。 また、ポスト京都議定書の数値目標について、締約国間の合意が得られれば、近い将来、日本に対してもEUが目指している20%近い削減のノルマが与えられる可能性もあります。 先般、ドイツのハイリゲンダムにおいて開催されたG8において安倍前首相が2050年までに世界のCO2を半減させるイニシィアティブ発言をしました。 更に、高知エコ議連の名誉顧問である東大の山本良一先生は、半減させると同時に、地球の平均気温を+2℃の範囲に抑制しないと地球の状態を正常に維持する自然界全てのシステムが崩壊し、取り返しがつかなくなると断言しています。干ばつの被害に始まり、食糧安保問題から水の争奪戦争にまで波及してゆくだろうと言われています。 ジュネーブで開催中のWTOにおいても温暖化による影響が真剣に議論されています。 温室効果ガスの削減は、GNP・GDPを下方修正してしまうと懸念する前に、如何に環境共生型の産業振興で持続可能な発展を遂げるかが優先する課題だと思いませんか。本県の産業振興ビジョンは簡単明瞭「環境共生型の産業振興」の一言に尽きると思いませんか。 さて、来年開催される洞爺湖サミットにおいては、先進国・開催国として、G8における安倍イニシィアティブ発言との基本姿勢にずれが生じてはなりません。福田首相の発言に強いリーダーシップを期待したいと思っています。 今後、「ポスト京都」も含めて、新たな数値目標を策定する県の見直し作業に合わせ、林活議連・エコデザイン議連・エコデザイン協議会・えこらぼ等、関係団体においても、力を合わせて、民有林の整備促進や県民生活における民生部門の削減に対する県民の意識や行動にインセンティブを与えることができるよう、「削減に向けたロードマップづくり」のキック・オフ・ミーティングを別紙の通り10月19日に開催いたします。 既に、市議会や町村議会の皆様にはご案内を差し上げましたが、環境問題に熱心に取り組む多くの議員の皆さんのご出席を賜る中、キック・オフできますよう議員各位のご協力を引き続き宜しくお願いします。 |