2003.03.01

HAIKU・ 俳 句 ・HAIKU


(7)命令形



4つの基本型が修得されたなら、次は実践型へ行ってみよう


「命令」 


俳句の技法で命令形を用いる場合は、社会一般の通念とちがって、
命令を発する主体者はすべて作者なのだ

そして、命令を受けるのは、大別して、一つは作句の対象となる
ものであり、もう一つは、なんと作者自身なのだ

1.作者から対象一般へ
2.作者から作者自身へ

つまり、俳句においては、単に上位に立つ者から下位の者への
伝達ではなく、心への呼びかけと言ってもいいかもしれない


例句
  松籟も寒の谺も返し来よ          小林康治
  ショウライモ/カンノコダマモ/カエシコヨ
  
  青野に吹く鹿寄せ喇叭貸し給へ       西東三鬼
  アオノニフク/シカヨセラッパ/カシタマエ
  
  逝く吾子に万葉の露みなはしれ       能村登四郎
  ユクアコニ/マンヨウノツユ/ミナハシレ
  
  ががんぼよ飛べ水煙の天使まで       橋本鶏二
  ガガンボヨ/トベ/スイエンノ/テンシマデ


そしてまた、

  柿若葉多忙を口実となすな         藤田湘子

  落葉降りやまず急ぐな急ぐなよ       加藤楸邨

  蟇歩くさみしきときはさみしと言え     大野林火

  手放しに命は惜しめ寒波来る        殿村菟絲子


俳句のリズムを越えた「句またがり」になっているものもある
命令は意思表示の現われでもある


俳句では、感動を「うれしい」「たのしい」と簡単な言葉で述べて
終ってしまうのではなく、一度飲み込み、こころの奥底から沸き上がる
何かを、吐き出すことによって詩に昇華しようとするのだ


草木虫魚、他人に対して命令するというより、
呼びかけるという態度が好もしい

つまり、命令も一種の挨拶ととらえて詠ってみよう



                (-。-)y-゜゜



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