(6)俳句は型から覚えよう
それでは最後の基本型を紹介しよう。 「や」「かな」以上の思いきりが必要とされる「けり」なのだ 「型・その4」 例句 はつあらし佐渡より味噌のとどきけり 久保田万太郎 みぞれ雪涙にかぎりありにけり 橋本多佳子 蟻地獄聖(ひじり)はめしひたまひけり 阿波野青畝 季語(名詞)/ /動詞+けり ●●●●●/●●●●●●●/●●●けり 上五 中七 下五 この基本型は、上五に五音の名詞となる季語を置き、 下五の動詞に「けり」が付いたもの。 これにも応用型はあるが、基本型は中七・下五がひと続きのフレーズで 上五の季語を説明してはいけない。 季語とその他のフレーズは、かすかな響きあいだけでいいのだ。 昨今は、分りやすく説明的フレーズが多くなっているので注意。 しかし、それでは俳句を読んだ醍醐味が無くなってしまう。 あくまで、俳句は散文ではなく韻文だと心得るべし。 「型・その3」の「かな」では、一句を読み終った後の余情が、 また上五・中七へと戻って、ふたたび十七音をつつみこむような 働きがある。 つまり、省略されたものが「かな」二文字に託され、その余情 余韻が読者に伝わるのだ。すなわち、「かな」は沈黙の切字。 しかし、「けり」はもっと強い決断の切字。言い淀んではいけない。 作者の発見や思いを一言で言い切る意志が必要とされる。 霜柱俳句は切れ字響きけり 石田波郷 この潔いリズムを見失わないようにしよう。 たとえば、上五の季語に 「葱坊主」「白木蓮」「蜆汁」として作ってみよう もちろん、自分で季節を先取りした季語を探すのもいいだろう どうだ、できるかな? (-。-)y-゜゜
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