轍 郁摩 |
文人と詩人と歌人と俳人と最初に笑ふものに幸あれ 詩歌とふ予言のことば紡ぐとき扉のノブのかくも重たし 推論型アンドロイドを求めつつチェスに飽きたる我ら何せむ 人類の夢にあらはるものなべてかみの図面に慌て記されし 縞馬と白馬の化石おもふとき古代恐龍華やかなりし 怠惰なる神もゐませる 創造の小(ち)さき頭脳を人間(ヒト)に与へき 美人画家の線が具象を越えむとて夭折近き光放てり 莫逆も斬首もわれの身内にて汗に光かれる刀痕の額 一生とふ終の栖のおもはゆき花橘の香こそ咎なり 夜は獣 東の国の名をなのり昴ぞ今宵高く耀ふ 持続なき天分の才よ ためらひて匕首に彫る青竜一匹 契約を破棄せし神の名を呼べりすでに天蓋秋の気配ぞ プログラム組みつつ思ふ推論の怒りのやり場なにあたふべき 憤怒もて昇る梯子の段多し思想足らざるほどが好まし 明けぬとて明けざる夜を訝しみ2001年抱擁の肩 |