轍 郁摩 |
DNA螺旋格子の指令もて男を愛す 雪の糸杉 愛すべき旗あるゆゑにあらそへり無風地帯のあはれ旗竿 吾がこころ律するものも衣領樹も枯れむとすなり苦き肝胆 恋知らぬ上目使ひの少年よ梢を太刀とせしことなきか 虚像なる画像の光(かげ)をあやつるも数値入力いかにミスせむ 和歌に似て滅ぶ滅ぶと言ひながら滅ばぬ国のあはれまほろば 「飛ばぬ鳥が好きだ」と言ふ君の心はここに・・・在らずアフリカ 壮年の夢に血を売る黒々と独逸総統自尽か焼死 断食の明日は検診欲しきものパンより武器より髭とのたまふ 孔雀明王くれなゐゆらぐ天蓋に我等が飢ゑを羽根にて示す |